1-1.睡眠時無呼吸が疑われる症状
次の様な方は、無呼吸が疑われます。
[いびきが、ひどくて、]
目覚めが凄く悪い /居眠りが多い /絞首刑等の夢を見る /
夜間苦しくて目が醒める / 夜間のみ突然動悸がする /
夜、おしっこが近い / 睡眠中のみ、咳払いをしたくなる /
睡眠中の呼吸が不規則、浅く速い/
息を吸う時、鎖骨の上が凹む。/"みぞおち"が凹んでいる(子供)
1-2.いびき・睡眠時無呼吸の原因
・なぜ、いびきの音はなぜ出るか?・・口笛と同じ原理です。
周りが柔かく、狭い所を、空気が速く流れるからです。
・なぜ、空気が速く流れるか?・・同じ量の空気を吸うと、
通り道が狭いので、その分、速度が速くなります。
・なぜ、空気の通り道が狭いか?・・
・空気の通り道にある”扁桃腺やアデノイド”が大きければ、
空気の通り道としての残りのスペースは、狭くなります。
・肥満等により空気の通り道が少し狭く(かつ軟らかく)なり、
このため、空気が速く流れます。
そうすると、下唇に紙テープを当て、強く空気を吐くと、
紙テープが舞い上がる(右図)のと同じ原理で、周りが
吸い寄せられて、更に狭くなる場合が、あります。
睡眠中は、筋肉の緊張は低下し、狭くなり易くなります。 |
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1-3.無呼吸の体への影響
酸素の薄い状態に長く居るわけですから、慢性疲労その他の全身
への影響は、あります。特に、酸素が薄い分、たくさんの血液を
送らなければならない、(しかも自分自身にも酸素が少ない)
心臓には、大きな負担がかかります。同じ様に、肺や横隔膜にも
大きな負担がかかります。子供の場合は、みぞおちが凹みます。
更に詳しい説明は、フレームページの関連サイト(他施設へのリンク)を御覧ください。
2.いびき・無呼吸時の咽頭(のど)の様子
それでは、いびき・睡眠時無呼吸の時の咽頭
(のど)の様子を、見てみましょう。右図は、人の
頭の真ん中近くを、横から見た断面図です。
鼻から入った空気は、オレンジの矢印のように
進みます。この空気の通り道で 、狭くなり易い
所が2ヶ所あります。1つは、上咽頭の下部
(右図水色の楕円)で、前は軟口蓋(口の天井の
一番後)、後は咽頭後壁(口をあいた時、
突き当たりに見える壁)、両脇は扁桃腺の上部で
囲まれています。2つ目は、舌根部(右図青の
楕円)で、舌の後の空間です。舌に下の方に、
喉頭蓋(食事と空気が同じ場所を通るので、
その交通整理をする板)があります。
両部(水・青楕円)の、色々な狭くなり方を、
上方から見た写真で、以下に示します。
(この分類はDr.岩田(関連サイト参照)の分類等を参考にしています。
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上咽頭部
上咽頭・扁桃型
右図を見ると、両脇の(丸みを持った)扁桃腺が、
中央に寄り、真ん中の空気の通り道(暗い部分)を
狭くしているのが、解ります。
真ん中の空気の通り道には、遠くに、舌根部の
喉頭蓋等が見えています。
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上咽頭・軟口蓋型
軟口蓋(口の天井の一番後、右図では、
暗い部分の下側)が、咽頭後壁(上側)に寄り、
空気の通り道(暗い部分)が狭まっているのが
解ります。
両脇の扁桃腺は、目立ちません。
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上咽頭・全周型
中央の、台形に少し暗い部分が空気の通り道です。
少し下にある、舌の後部(台形部の左・右下角の灰色
の部分)や、喉頭蓋(中央の皿状の部分)等の舌根部
の構成物も見えています。扁桃腺は台形部右上角に
見えていますが目立ちません。
軟口蓋(下辺)、両脇、後壁、(上辺)が、全周性に、
丸く狭くなるのが、解ります。
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舌根部
舌根部・喉頭蓋型
上の明るい部分は咽頭後壁、下の皿状の部分は
喉頭蓋で、中央の黒い逆三角形部は、気管・肺に
通じる空気の通り道です。逆三角形のすぐ外側に
ある白いV字型が、声帯(振動して声を出す帯)です。
喉頭蓋が、後壁の方向に吸い寄せられ、空気の
通り道をふさいでしまうのが、解ります。
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舌根部・全周型
見えている組織は、上の喉頭蓋型で説明した物と
同じです。周りの壁が、全周性に丸く閉じて来るのが
解ります。まるで絞首されているような光景です。
上咽頭・全周型に、似ていますが、これは喉頭蓋
(右図下半分の皿状部)と同じ高さ〜直上部で閉塞
しています。上咽頭・全周型はこれより約5cm上で
閉塞しています。狭くなる壁の下の部分は、舌根部
は舌で、上咽頭では、軟口蓋という膜です。
舌根沈下という言葉は、医療界でよく使われますが、これを見ると、咽頭虚脱が
正しいと思えます。 |
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3.いびき・無呼吸の検査
いびき・無呼吸の検査としては、(当科では)以下のようなことを行います。
3-1.初診時検査(外来検査)
・症状等の聞き取り:肥満度、睡眠体位(仰向け、横向き)、飲酒の習慣、
いびき(音、連続性)、無呼吸(長さ、頻度)、夜間に目がさめる頻度、
日中の症状(目ざめ時頭痛、居眠り)、合併症(高血圧、不整脈、・・)
・診察:顎や首の形・扁桃腺や口蓋垂(のどちんこ)周囲の形・舌の大きさの観察
・喉頭ファイバー(胃カメラに似ているが、かなり細い)での観察
空気の通り道に沿って、腫れ物がないか、どのように狭くなりそうか観察します。
”2.いびき・無呼吸の時の咽頭の様子”は、このようにして撮影したものです。
・画像診断(レントゲン写真やCT写真):顎の形や空気の通り道の広さを、
数値化します。CTは後日になります。行わない場合もあります。
3-2.終夜睡眠ポリグラフィー(入院検査)
患者さんの都合が許せば、入院の上、実際に睡眠している時の、
いびき・無呼吸の状況や重症度を、測定します。
終夜睡眠ポリグラフィー検査とは、生体情報のセンサーを体に貼って、一晩寝て
いただく検査です。センサーは、鼻と口の間(鼻や口からの(呼吸の)空気の流れ)、
のど仏の脇(いびき)、胸と腹の間(胸腹の運動(呼吸運動))、左手小指(血液中の
酸素濃度・脈拍(心拍))に貼ります。大学病院レベルで睡眠時無呼吸を専門としている所は、
さらに、脳波・眼の動き・筋肉の緊張・咽頭の気圧等も測定しています。
当科では、以下の日程で、検査を行っています。
1日目 夜 無治療の状態で、終夜睡眠ポリグラフィー検査(重症度の判定)
2日目 午後 安定剤による睡眠状態で、睡眠中の空気の通り道の狭くなり方を
観察します。閉塞部が複数ある時の、それらの重症度差も調べます。
2日目 夜 圧可変型CPAP(治療用装具、”4.治療”参照)を装用し、終夜睡眠
ポリグラフィー検査(CPAPで改善することの確認、適正CPAP圧推定)
マウスピース等を作成した場合は、その効果判定のために、もう一泊増えます。
それでは、終夜睡眠ポリグラフィーで得られたデーターを、見てみましょう。
最重症ではありませんが、重症に分類される症例です
[2段目のグラフ(胸腹の呼吸運動)を見て
ください。]1.胸腹は空気を吸おうと動いて
いるのに、
[3段目]のどが狭くなり閉塞しているので、
2.空気は全く流れていません。
[4段目]その間に、3.血液中の酸素は、
どんどん減っていきます。
[1段目右]もう、周りの酸素は、富士山頂
より、もしかしたら 4.チョモランマより薄い
状態なのに(=自分自身も酸素が無くて
苦しいのに)、心臓は、必死で、さらに
パワーアップして、仲間に血液を送って
います。
心臓に凄い負担が、かかっているのが、
よく解ります。 |
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4.いびき・無呼吸の治療
当科では、上の”3.検査”(”2.様子”も参照してください)の結果を参考にし、
各治療法の、症状改善期待値や長短所を、患者さんに説明し、
概ね、下表に沿って、治療方針を決定します。
表内の略語は、表の下の、治療法の”具体的説明”を参照してください。
治療方針選択基準
閉塞
部位 |
閉塞パターン |
治療法 |
| 手術療法 |
保存療法 |
上
咽
頭 |
全周性
軟口蓋型 |
 |
|
CPAP |
減
量
・
減
酒
・
睡
眠
体
位
・
内
服 |
| 軟口蓋型 |
 |
LAUP、
UPPP |
CPAP |
口蓋
扁桃型 |
 |
扁桃腺摘出、
UPPP |
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| 小児 |
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アデノイド・
扁桃腺摘出 |
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舌
根
部 |
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MLG,CGL
(当科では
経験なし) |
マウスピース、
CPAP |
混
合
型 |
上咽頭(軟口蓋等)+
舌根部 |
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CPAP |
LAUP or UPPP +
マウスピース or 横臥位 |
治療法の具体的説明
保存的療法
1.CPAP (continuous positive airway pressure)
送気(加圧)装置につながった鼻マスクです。
大半の人に有効です。毎晩、装着して寝ます。
息を吐く時に、少し抵抗を感じますが、慣れます。
あまり重症でない人は、続かない事が多いようです。
biPAPだと、息を吐く時の抵抗感は激減します。重症(居眠りが
相当多い)な方は、健保診療でCPAPレンタル(2割負担で
約3千円/月)あり。価格CPAP:16〜38万円、biPAP:64万円位 |
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2.マウスピース(歯列プロテーゼ、スリープ・
スプリント、口腔内装具 等とも言う)
下の歯が、数mm前に行く様に作った
マウスピースです。舌の落ち込みが
原因で、重症でない人に有効です。
毎晩、装着して寝ます。
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3.減量 :肥満が原因の方は、dietすべき。しかし失敗する人も多い。
4.睡眠体位:横向きで寝ると、かなり軽減します。しかし気が付くと仰向け?
5.減酒 :ベット・パートナーの方は、よく解っています。
6.内服 :ある利尿剤は多少効果あり。夜尿が多くなる? |
手術的療法
1.UPPP (uvulopalatopharyngoplasty)
病院耳鼻科で、最も行われている手術です。
扁桃腺(右図、緑横線)と軟口蓋等(青縦線)を
切り取ります。5〜7割のいびき・無呼吸に
有効ですが、10日弱の入院が必要です。
2.LAUP (laser assisted uvulopalatoplasty )
耳鼻科医院で、最も行われている手術です。
レーザーで、軟口蓋(青縦線)を切り取ります。
いびきや軽症無呼吸に有効です。
短期入院(2泊)〜外来で出来ますが、傷の痛み
が、1〜2週間続く事もあります。 |
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3.MLG(midline laser glossectomy):舌の後を三角に切り取ります。術後安全管理が厳しい。
4.CGL(correction of glossolarynx):舌の前下の策状物と筋肉の一部を切る。評価未確定。
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